アイリスに魅せられて
長崎県北松浦郡 松永 康治
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●花菖蒲栽培のきっかけ
私が花菖蒲と出逢ったのは小学生の頃、祖母が貰って来た白花の大輪でした。
当時は栽培方法に詳しい方もいなくて水辺に咲くイメージがあったので素焼きの鉢に植えられ腰水で植え替えもせずに3年ほどで消えてしまいましたが、今でもあの大きな花が印象に残っています。
数年前に近くの種苗店でたまたま見つけた花後処分品の千姫苗が現在の花菖蒲栽培のきっかけです。
まともな栽培方法も知らず発泡スチロール箱に植えた千姫が翌年見事に開花、しかもピンクの大輪に感動して興味が深まりました。
また、園芸植物の中では増殖が容易で切花や苗が近所の方にも喜ばれるので人に見せる楽しみもできました。
インターネットを始めて色々と調べているうちに加茂花菖蒲園や花菖蒲協会のことを知り入会して現在に至っています。
自分の場合特に何系が好きと言うことも無く気に入った品種を栽培していますがインターネットを通じて岐阜の柴田さん達と知り合えたおかげで交換などで栽培品種を増やしています。
私が住んでいるのは長崎県の西の端、平戸の隣の島で温暖な九州ではありますが島の利点で風通しが良い環境にあります。自宅に畑や庭があるわけではないのですが親戚の休耕田(中途半端に水が出るので半分湿田半分畑といった感じ)を借りて栽培しています。
湿田部分には簡単に池を作って花ハスを植え、池の端にカキツバタとルイジアナアイリス、畑寄りに花菖蒲を植える感じで使っていますが最近は連作障害とリゾクトニアが出始めたため長井系など丈夫な品種を除き鉢植えに移行しているところです。 |
松永さんが海外から入手した外国系の花菖蒲 |
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アックコモデート |
クリスタルハロ |
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インディゴマジック |
アックセントピンク |
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畑 |
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Iris.hoogiana.var.purpurea |
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輸入した花菖蒲とシベリアアヤメの苗 |
●育種への興味
以前から育種には興味があったのですが会誌等に啓発されて‘02年に千姫とアックセントピンク(アメリカ系)を交配、あと昴のセルフを採種‘03年に播種して‘04年幾らか初花を見ることができました。とくにこういう花を狙ってということではなくピンク系と白糸覆輪系の花が見れれば良いという感じでしたが千姫系はどちらの親もピンクだったのでピンクの花色が大半でした。昴セルフの方は親に近いものが咲くかと思いきや長井系に近い花ばかりで、もしかしたら先に長井系の花粉が蜂によって運ばれていたのかも知れません。
特に良い花というのは出現しませんでしたがいろんな花型花色で実生の面白さを実感できました。今後もいろんな交配にチャレンジしてみようと思っています。
●他のアイリス属について
花菖蒲を栽培していると必ずアヤメ、カキツバタとの違いは何だろうという疑問が沸いてきますが違いを調べていると他のアイリス属にも自然と興味が湧いてきます。
日本では特に広くアイリス属を扱った専門書などは見かけませんし一般的にジャーマンアイリスと花菖蒲等のアヤメの仲間、球根アイリスなど以外はなじみがないですね。
アメリカアイリス協会など海外のホームページなどを見ていると大まかにビアデッド(ジャーマンアイリスなど)とビアドレス(花菖蒲など)に分けられていてビアドレスのグループには花菖蒲(ジャパニーズ)の他にシベリアンアイリス、ルイジアナアイリス、カリフォルニアアイリス、スプリアアイリスなど自分の知らない多くのアイリスがあり、それぞれに愛好会が存在することなどを知ってますます興味をもちました。
世界にはまだまだ見た事のないような面白いアイリスがあると思うとワクワクしてきますね。
世界のガーデンアイリス発刊は待ちに待ったというかナイスタイミングというか非常に楽しみです。
海外のナーセリーでは国内にあまり流通しないアイリスの数々が紹介されていますので興味が湧けば問い合わせて輸入する楽しみもできました。
アメリカ系花菖蒲をきっかけにシベリアンアイリス、ルイジアナアイリスなど(できるだけ栽培が難しい種類は避けていますが)
2004年は以前から欲しかったPCI(カリフォルニアアイリスの園芸品種)とスプリアアイリス、シベリアンアイリス、アリルブレッドの仲間を購入し現在挑戦中です。
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●ルイジアナアイリスについて
海外のアイリスの中でも特に気になったのはオーストラリアのナーセリーのホームページに掲載されたルイジアナアイリスの写真で花型は平咲の花菖蒲に似ているのにビロード赤や澄んだブルー、柿色、複雑な配色の花々で衝撃を受けました。
ジャーマンアイリスのように花数も多く1茎でもにぎやかに咲くところも面白い点です。
栽培してみたいという誘惑に勝てず国内での入手方法もわからなかったので翻訳ソフトと格闘しながら個人輸入しました。
一昔前は原種に近いシンプルな花型の品種が多く今ひとつパッとしない植物だったようです。
近年オーストラリアなどで改良された物は花弁にフリルの入った豪華なものが多く、また栽培も容易で暑さ寒さに強いので普及していくのではないでしょうか。
難点は株の移動が激しい(1年で30cm〜50cm)ですので畑または大きな容器での栽培になります。
ルイジアナアイリスは高性(1m程度)の品種が多いのですが最近ではウォータースプライトバラエティと呼ばれるコンパクトな品種群が育種、紹介されています。
実際の栽培ではオーストラリアからの購入でしたから当然季節が反対ですね。7月に到着した苗はこれから開花に向けて成長する前の冬苗で畑に植え付けたあと9月に開花してしまいましたがその後の生育も問題なく翌春の5月には再び綺麗な花を見ることができました。
調べてみるとリブルーマー(二期咲き)の品種もあるということでそのせいかもしれませんね。
開花した物はいくつか交配してみました。花菖蒲のような種のつき方を想像していましたがなんとレモン大の大きな実がつき驚きました。中の種はコロコロとした形で発泡素材のような感じです。花菖蒲が風で分布を広げるならルイジアナアイリスは水の流れで分布を広げる植物なのかなという印象をもちました。それらの種子は当然播種して育成し現在6鉢ほど開花を待っています。
うまくいけばまたご紹介できると思います。 |
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Childhood Sweetherat |
ルイジアナアイリスの実 |
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