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 花菖蒲観賞旅行
                
兵庫県三原郡 奥田敦子

  
加茂荘の庄屋料理をいただいた
露地物は盛りを過ぎ、鉢物の圃場が見頃だった。
晴天で暑く風の強い日でした。
花菖蒲園の売店では、みなさんたくさん購入された。
加茂花菖蒲園にて。この後、倉真温泉に向かった。
  
 
昨年の日本花菖蒲協会の観賞旅行会は、静岡県の掛川花鳥園、加茂花菖蒲園、浜名湖花博に行きました。

 六月十五日の午前十一時前に静岡県の掛川駅に集合し、まずは一昨年に完成したばかりの掛川花鳥園に向かいました。さまざまなフクロウを見てから大温室に入ると、アイビーゼラニウムやペチュニアの大株が吊ってあり目を奪われました。  130平米もあるという熱帯スイレンのプールでは、色とりどりのスイレンに一つづつ名札が付いていて、スイレンにこんなに種類があるのかと驚きました。よく見ますとスイレンのプールには色とりどりの熱帯魚も泳いでいます。そして南国生まれらしい鮮やかな色のインコやオオハシがよく人になれていて、えさをねだるように腕や肩に止まりにきます。ほんとうに楽しく癒される空間でした。

 次に加茂花菖蒲園へ。ここで昼食となりました。くちなしの鮮やかな黄色に染めたおこわと煮しめなどの庄屋料理をいただきながら、目のほうは極彩色のこどもの頭ほどもありそうな球根ベゴニアを楽しんでいます。そこへ名誉会長の加茂様がおいでになって全員に花菖蒲の柄のハンカチをプレゼントしてくださいました。
 昼食後、庄屋屋敷の入り口で、加茂様のお話を伺いました。昔はゼラニウムをたくさん作っていて、冬は日中は外に出して、夕方にはこの土間に入れていました。この屋敷の前は昔は火の神様を奉る秋葉神社に向かう街道で、巡礼など通行人の多いところでしたが、それが今は観光客に変わりました、云々。今は奥様とお二人で庄屋屋敷の二階にお住まいだそうですが、ハクビシンとコウモリもいますよ、と笑っておられました。

 それからゆっくりと花菖蒲を楽しみました。池の周囲を歩きながら、そして池に渡された八橋の上で。花は最盛期を過ぎ、光と風の強い花菖蒲には悪いコンディションでしたが、正面の池は観賞期間を長くするためのポット鉢になっており、草丈は地植えにくらべやや低いものの、花はまだたくさん咲いていました。名札が小さくて字が薄いため名前を読みにくい花がたくさんあり、名札が読みやすければと思いましたが、短命な花を日々美しく見せるため大量の入れ替え作業を毎日行なっており、なかなかそこまではといったところなのでしょう。ともあれ、滴るような緑の中に立つ長屋門や白壁の土蔵を背景に咲く花菖蒲の姿はやはり理屈抜きに美しく、日本人の心のふるさととも言える風景でした。

 午後四時半すぎに加茂荘を後にして、宿泊地である掛川市内の倉真温泉の真砂館に向かいました。懇親の宴のあと、近くの川に蛍がいますよと旅館の人に誘われ、三々五々蛍狩に繰り出しました。川の方には数匹しかいなかったのですが、帰ってくると旅館のそばに蛍たくさん飛んでいます。旅館の人が車のヘッドライトを点滅させて、蛍を呼んでくださったのです。

 一夜明けて翌十六日も快晴に恵まれました。朝食はこの宿自慢の蓮の花を眺めながらの趣向でした。まだ夜温が低いので咲いているのはほんの数輪でしたが、一面の蓮を前にしての食事は極楽浄土気分(?)でした。

 八時に宿を出て今日の目的地である浜名湖花博の会場に向かいました。午前九時半に現地に着き、花博会場に入場したところで、会場内は自由行動のためここで解散となり、七夕様のように一年後の再会を約してお別れとなりました。その後私は園芸文化館やモネの庭、百華園などを回りましたが、皆様それぞれに花博を楽しまれたことと思います。

 私は、今回はじめて協会の旅行会に参加いたしました。知人もおりませんので少し不安でしたが皆様にたいへん親切にしていただき、楽しい旅行になりました。幹事の小山様はじめお世話になった皆様にお礼申し上げます。本当に有難うございました。