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    表紙解説 
ユリ咲き花菖蒲 釧路市佐藤文治氏作出     

 釧路市の大楽毛で、地元産のヒオウギアヤメ等のアヤメ属植物や、その他さまざまな植物を長年改良されている佐藤文治氏が、地元に自生するノハナショウブの変異から作出した、花菖蒲としては奇想とも言えるめずらしいユリ咲きの花。草丈は70cm程度で、花径はおよそ10cm程度の小輪だが、花弁が細く、よく見ると花弁元の黄色い目がひじょうに長い。紅紫に白いかすりの入る花弁もめずらしい21ページに紹介した六英花と同じ場所で、このユリ咲き花菖蒲の親となる個体も発見されたそうだが、この地域に自生する個体は、稀に花弁が細くなる遺伝子を持っていると考えられる。園芸品種の花菖蒲の血をまったく使用せず、地元産の個体のみを育種親に使い、長年の改良でこのような珍しい花を産み出した努力には、いつもながらほんとうに関心する。