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 千葉大学園芸学部所蔵「花菖培養録」より図譜部分

                       

 松平菖翁著「花菖培養録」は、はじめ弘化二年「華 鏡」として著わされ、年号が嘉永に変わるとともに「花菖培養録」と改題された。現存する培養録は国立国会図書館に原本として嘉永二年本、同六年本、写本として嘉永元年本、同六年本各一冊。京大に嘉永六年写本一冊。千葉大に今回掲載した嘉永六年本一冊。東博に「花菖蒲瞿麦培養方」として弘化四年写本一冊。「花 鏡」としては、明治三十三年に日本園芸會が翻刻したものがあるが、原本は不明。また、未確認だが愛知県西尾市岩瀬文庫に「花菖蒲華鏡」があるという。ほか熊本満月会が、嘉永五年本原本を所蔵している。

 千葉大本は、同大学名誉教授の岩佐亮二先生が、昭和三十二年頃東京の井上書店より購入したものという。多分誠文堂新光社で「実際園芸」を編集しておられた石井勇義氏が持っておられたものが、氏が亡くなられた時古書店に買い取られたものではないかと話しておられた。千葉大本は大版で江戸時代の幕府の正式な文書のサイズであることから、岩佐先生は翁の原本ではないかと考えておられた。図譜部分は多くの花菖培養録中もっとも豪華だが、国会蔵に見られる菖翁の朱印がない。

 
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