当協会が創立されてから、七十周年を迎えられ、心からお祝い申し上げます。戦前、戦中、戦後を通じて、過酷な自然環境と戦いながら生きぬいいてきた花菖蒲には、頭の下がる思いで一杯です。戦中は生きることがやっとで、制空権を握られた私たちは、何度防空壕に逃げ込んだことか、従って花菖蒲には無関心というか、それどころではなかったのです。昭和二十年八月の終戦以降は平和が続き、現在に至っています。人々の心にゆとりが出てくると、花に心を奪われ、やがては自分の手元で花を咲かせたくなるのが人情と思われます。
私が定年退職してから五年後のことです。近所に日本花菖蒲協会の会員の方で、交配などして新花を作っていた方がおられました。その方は十年くらい前に故人になられましたが、この人から花菖蒲を作ってみないかと誘われ、渡りに船で作ってみたのが以降病み付きになり、今では百五十鉢ほど植えております。
花菖蒲は三重県の県花でもあります。毎年展示会を開催しており、私は知事賞を二回ほど頂きました。花を作っておれるのも、平和であればこそと思います。これからも健康であるかぎり、花を愛し続けたいと思います。
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