|
京 舞 |
|
紅枝垂桜 |
花菖蒲が大好きで、三越の展示会の折り主人の勧めで入会させていただき、四十数年。集会は以前の松本楼であったこと。年毎の花期に明治神宮の閉園后のご招待があり、宮司様のご挨拶の後おもてなしを戴いたことどもを懐かしく思いおこします。
平尾先生や諸先輩方のご指導で、庭を掘り返しては花菖蒲を殖やし、池の水、風呂の落とし水なども利用して世話をし、花どきには句会場、親戚の集まりなどと、次々に声をかけて楽しみ、「花菖蒲は水陸両用なのよ」などと力説したものでした。
主人が亡くなって二十余年。私も庭を掘って客土するほどの体力もなくなり、今はプランターを並べて最低の世話をするくらいが実状で、幾種かの苗も亡くなりました。光田先生の花々にご縁があって、それなりに梅雨期の風情に溺れています。
菖蒲田の風むらさきに雨霽るる
会釈せし人とまた逢ふ白菖蒲
菖蒲田に彩出て迅き流れかな
紅強き千姫の名の菖蒲かな
花菖蒲充る旧家の白土塀
(加茂荘にて)
昨年先生も亡くなりましたが、せめて花が咲いてくれたらと思い、育てている次第です。
平成十三年十二月
|