八絋学園は、海外移民のための研修施設として、栗林元二郎氏が昭和五年に設立した農業専門学校です。栗林氏が東京の日本橋三越百貨店で戦後行なわれていた、日本花菖蒲協会協賛の花菖蒲展示即売会で毎年苗を購入し、この学園内に植え付けたのが八絋学園の花菖蒲園のはじまりだそうで、石山様は栗林氏の甥にあたられます。その石山様が学園内にある栗林石庭に案内してくださいました。そこには、何十トン、いえもっとあるかも知れません。そんな驚きのあまり思わず歓声があがるような巨石が、いくつも配置されていました。広大な学園といい、オンコの巨木といい、どうやってここまで運んだのだろうかと思うほどの巨石と言い、何とスケールの大きな方であったのだろうかと思いました。
八絋学園を後にして、豊平区内の石山様のお宅へ伺いかいました。
モダンなお住いの庭には、大小の石楠花の鉢が無数に並んでいて、いったいどれくらいの種類と鉢数なのだろうと思うほどでした。日本各地の野生種の石楠花や、ご自分で実生されて、新しい品種も作られているとか。そして勿論ここにも見事な花菖蒲がありました。どの株もよく成育しており、色彩も鮮やかです。石山様に、このお家を建てられた時の庭は、石ころだらけだったと伺いまオた。最近わが家でも花壇を作ったのですが、やはり石に悩まされています。ため息をつきながらも石山邸の花菖蒲を思い出しながら一つ一つ拾っております。
二日めは丘のまちといわれる美瑛に向かいました、『北の国から』の舞台になったところで、折しもジャガイモの花が咲き、濃緑や薄緑の葉に白や薄紫の花がアクセントとなっていて、壮大なパッチワークでした。二日めの目的地の富良野では、ファーム富田(中富良野町)を訪れました。満開のラベンダーをはじめポピーやカスミソウの帯が香りとともに私たちを迎えてくれました。そういえばこの後、・香りのある町百選・に選ばれましたね。ラベンダーアイスにラベンダーカルピスもあり食べてみたかったのですが・・・。そういえばバスガイドさんが、お客さんたちは、植物を観る時と美味しいものを食べている時は、表情や眼の輝きがぜんぜん違いますねと言っていました。
この日の宿は十勝川温泉に泊まりました。この温泉は世界的にも珍しいモール温泉で、通称「美人の湯」と呼ばれています。富山県砺波市出身の女将さんの笑顔が印象的でした。 翌日は、帯広から根室本線で芽室町へ向かいました。町役場では常山誠町長をはじめ、花菖蒲園を管理しておられる建設課の武田課長、吉野主査らの歓迎をうけました。
花菖蒲園のある芽室公園は、総面積二十ヘクタールの総合公園で、日本のゲートボール発祥の地ということで、その碑も建っています。花菖蒲園はピウカ川に沿った地域にあって、品種数四百あまり、二万株が植えてあります。北国生まれの品種もたくさんあるようでした。北海道にしては暑い陽気でしたが、今シーズンの見納めということもあって、皆さん熱心に観賞されていました。
この公園には樹齢四百年から五百年もの柏の木があります。名木とのことで、一本の老木が支柱に支えられている姿をイメージしていたのですが、ここのものはまるでヨーロッパの公園のように、明るい柏の林でした。大人が二人で手をまわしても、まだ足りないほどの大きな木がたくさん生えているのです。朝にはリスの姿も見られるとか。後世の子供たちのために、今も柏の木を植えているそうです。
帯広空港から午後二時二十分の羽田行きに乗り、無事旅程を終了しました。
どこまでも、どこまでも真直ぐな道、曲がってもなお真直ぐな道。十勝岳の噴煙に広大なビート畑。芽室では、日本中の柏餅がまかなえるほどの柏の葉を見上げました。
今回お世話してくださった三池様、遠藤様、どうも有難うございました。初参加の長野のご夫妻や、遠藤様のお姉さまの林様とも知り合えました。来年はどんな出会いが待っているか楽しみです。それから、この誌面の写真はすべて金子キミエさんが撮影されたものです。どうも有難うございました。
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