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長沼花菖蒲園 |
下図1の3枚の表は、過去六年間の私共の園での開花順序です。調査方法としては、一つの品種の2年目株が、畝の長さにして10メートル以上あり、また二ヶ所以上ある品種を調査の対象として選びましたので、調査できた品種も栽培している品種中の半分程度です。
開花の基準としては、畑を毎朝廻り、一畝で花が五輪咲いた日を開花日としました。場所が異なると栽培のほんの少しの違いか、また地力のせいか同一の品種でも多少日にちがずれて咲くことがあり、一年二ヶ所づつの調査をして、天候の状態で順位の変わる年もありますが、ここに紹介したのは六年間調査しての平均を出してあります。
例年一番早く咲く「八ヶ岳」の開花は、その年の気候によりかなり左右されますが、平均すると六月の二十四日〜二十五日くらいです。「蛍の里」との間に二日くらいの間がありますし、「霧ヶ峰」から「揚
羽」の間に四日くらいの間があります。咲き順で八日目くらいからは毎日の咲き順となり、ここでだいたい七月の十日前後になり、この頃からお客さんからお金がとれるようになります。終わりの方の二十一番くらいは、七月の二十一日くらいに当たり、このあたりからはまた、開花が一日から二日の間が空き、「笑布袋」くらいで七月の二十五日前後となります。開花数が少なく、この表には載っていませんが、「花
筐」などは「笑布袋」が終わって五日後くらいに咲きます。
私共のところでは、古い品種が多く、今の園には通用しないところがあるかと思います。また、『花菖蒲品種総目録』にある花期は、どの花を基準にして早、中、晩としているのかわかりません。また関東中部の一般地とは咲く順序も違うかと思いますが、何かの参考になればと思います。
下図2の表は、「パオパオ」等の保温資材を圃場に直接ベタ掛けした場合の花菖蒲の開花促進表です。
この調査も開花日調査と同じく、一品種十メートル以上の畝で同一品種が二ヶ所以上ある品種を選び、六年間の開花平均値を出したもので、まず自然状態で「揚
羽」、「初 鏡」などより後には咲くことになるが、割と早咲きの品種を選びました。
その理由として、極早咲きの品種はあまり量がなく、お客様を呼ぶには園が寂しく、開花調査で八番から十一番位の品種の中から条件に合った品種を選び、促成処理をして、「揚
羽」、「初 鏡」などと同じ日に咲かせるようにしました。この方法で、開園を三日間程度早く出来るようになりました。
圃場全面に促成処理をする所もあろうかと思いますが、資材費や労力が多く掛かり、また花の終わりも早くなる様なので、品種を選んでいます。
処理方法としては、一品種十メートル以上ある畝の半分だけ保温資材を掛けてやります。後の半分は自然にまかせます。この方法で被覆処理区と無処理区の差を見ました。被覆する時期は、芽出し直後の四月下旬から約一ヶ月間です。初めのうちは出てきた新芽に密着するように掛けて、伸びてきたらその都度葉の長さに応じて緩めて行きます。掛ける時に害虫予防のためオルトラン粒剤を十アール当たり十キログラムを被覆資材を掛ける長さに応じて散布しておきます。この一回で、後は開花後まで薬剤散布は必要ないようです。被覆をはずす時期は、五月下旬から六月上旬頃で、花菖蒲の生育状態にあわせますが、資材を外してから折れ曲がった葉が自然に回復するまで、四十日くらいかかるようです。
表にも記しましたが、品種により差がありました。また、天候によっても差が出ましたが、少しの労力で開園を早めることが出来ました。「パオパオ」、「タフベル」、「スカイテック」など五種類の被覆資材で試してみましたが、資材による差はほとんどありませんでした。
北海道で調査の結果、試験結果を間単に書きましたが、府県とは気象条件がかなり異なると思いますので、何かの役に立てばと思います。
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