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はじめに

  会 長 加茂 元照


 コンピューターとその周辺機器を駆使して事務局自身で編集、出版するDTP(デスクトップパブリッシング)システムでの会報第2号が出来上がりました。第-号に比較してカラーぺ-ジが増え、仕上がりも良くなりました。
 花菖蒲愛好家、研究者にとって頼りになる資料であり、会員相互の親睦に資すことが出来、協会の広がりに役立てば幸いです。素晴らしい原稿
をお寄せ下さった方々、および、数々の難関を乗り越えてDTP出版に取り組まれた事務局の方々に感謝致します。
 この方法での出版は単にコストが安いだけでなく、版そのものがコンピューターシステムの中に蓄積され、いつでも利用出来る利点があります。このごろ急速に普及しているインターネツトを利用して、世界中どこからでも花菖蒲の最新情報交換が出来るようにすることへの条件が整ってきたとも言えます。
 花菖蒲の普及はまことに目覚ましく、どの地方にも大きな花菖蒲園が出来、数え切れないほどの入園者が集まっていますし、庭先に花菖蒲の咲く家が非常に増えました。アメリカやヨーロッパでも急速な普及が進んでいます。
 こうした新しく生まれつつある膨大な数の花菖蒲ファンと日本花菖蒲協会との距離は、情報革命の流れの中でどんどん近くなり得る筈で、このDTP出版による会報第2号もそうした役割の一端を果すものと期待しています。 もし、会報が日本語だけでなく、英文も併記されており、インターネットで世界中からアクセス出来るようになったとすれば凄い時代へ突入することになります。

 本年の旅行会は岡崎花菖蒲会のお招きに甘え、岡崎東公園の花菖蒲園、岡崎城を見学し、松平菖翁ゆかりの地などにご案内いただくことになりました。 ご承知のように、岡崎は徳川家、松平一族の発祥の地であり、松平菖翁のご先祖は家康の異父兄弟の一人ですから歴史探訪としても意義の深
いものを感じます。岡崎東公園の花菖蒲園は、現在では各系統の代表的品種が主になりましたが、当初は冨野耕治先生が採集した伊勢系種子からの実生だけが植えられ、育種と景観作りの両面が備わっており強烈なインパクトを感じた覚えがあります。その後、年を経て花菖蒲園としての一般性が優先され、育種の観点はなくなりましたが、花菖蒲園を実生だけで作った歴史的意義は大きかったと思います。
  昨年、旅行会、総会、展示会を同時開催する試みを行ないましたが、旅行会と総会は富山県の方々の手厚いご協力により成功したものの、展示会についてはいろいろあり、今後に課題が残りました。本年予定されている岡崎への旅行会の際も、切り花、鉢植えを持ち寄るようにお願いしますが、「花菖蒲協会の展示会」と称するほどのレベルになるには相当な工夫と努力が必要です。皆様の力が結集され、将来、旅行会、総会、展示会の三つが統一して盛大に開催出来る条件が整うと良いと思っています。
 アメリカ花菖蒲協会のコンベンション(大会)ではすでにこの統一が見事に行なわれており、展示会が
極めて有効に機能しています。花菖蒲そのものの普及は日本の方が何桁も進んでいる現状から見れば、展示会を成功させる条件はあると考えられます。積極的なご意見、ご協力をお願い
いたします。