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 嫌地対策として

                       加茂菖蒲園 永田 敏弘 


   花菖蒲園で長年花菖蒲を栽培してい ると、どうしても嫌地(連作障害)が 問題になってきます。これには客土や 天地がえしをすることがやはり一番効 果があるのですが、掘り上げた苗はま たすぐに植え付けなければならない し、梅雨時の雨で圃場はぬかるみ、な かなか簡単に出来る作業ではありませ ん。
 そこで当園では、堀り上げた苗をすぐ地に植え付けずに、いったんポリ 鉢に植え付け十分に活着した苗 を、八月の盆すぎに地に植え付け るようにしています。そして、そ れまでの約一カ月の間、圃場を空 にして大がかりな客土や天地がえ しなどの作業を行ないます。
 真夏 の書い季節の作業ですが、圃場の 土もよく乾くので、にユンボやト ラクタなどの作業機を圃場に入れ ることが出来ます。  また、この方法ですと植え付け 後の苗括れの心配がほとんど無 く、植え付け直後から肥料を施す ことが出来るので、結果として開花後の植え付けより成績もはるか に良くなります。問題は大量の植 え付け用の苗を短期間であれ鉢で養成し、かつ立派な苗に仕立てなければならない事で、一般にはなかなか難しい事かも知れません。
  しかし現在、古い歴史のある有名な、 大勢の入園者がある花菖蒲園ほど、連作による嫌地で出来が悪くなっている  ことも事実です。入園料を取っている花菖蒲園なら、せめて補植用の苗くらいは用意しておくべきだと思います。