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 優しさに出会えた旅

  岡山県  片岡 文男


茨城県潮来町あやめ公園

 平成九年六月八日から二泊三日の予定で、神奈川県の三池氏宅、茨城県の水郷潮来、千葉県の佐原水生植物園、静岡県の加茂花菖蒲園、愛知県の名古屋園芸を訪ねる一人旅に出ました。

 八日の朝、岡山から新幹線で熱海まで行き、そこから乗り換えて小田原から伊勢原へ、伊勢原の駅からタクシーで三池氏宅に向かいました。しかし、アポイントは入れてなかったので、あいにく不在でお会いすることが出来ませんでした。駅まで戻ったところ、駅前に伊勢原あやめの里にてあやめ祭り開催中のポスターが張ってありましたので、行ってみることにしました。あやめ祭り会場の周辺は、車の渋滞や多くの人で賑わい、園も広く、品種も数多く植付けられていましたが、時期が早かったのか花が咲いていなかったのが残念でした。

 東京から乗り換えて、潮来に着いたのは午後九時頃でした。はじめての土地であり泊まる宿も決めてなかったのですが、食事が先と思い、駅前を歩き始めたところ、前川あやめ園の近くに一軒のラーメン屋を見つけました。そこは、ご夫婦で経営されていて、私が、岡山から花菖蒲を見に来て、まだ宿が決まっていないことを話すと、ご主人が潮来町花菖蒲会の須田会長と知り合いということで、近くの旅館に行って宿を取っていただき、たいへん感謝しました。

 翌九日の朝、八時頃からあやめ祭り会場の前川あやめ園周辺を散策しました。時間とともに人出も多くなり、花菖蒲を販売する露天商も店開きしたので、ここでは約二十品種を購入し、また、潮来町花菖蒲協会の即売所に、三十品種くらい購入して、宅配便で送るからと告げると、忙しいところを二人の会員の方が、私が露天で買った鉢植えまでも土を落して、二個のみかん箱に梱包してくれました。また、宅配便の取り扱い店まで女性の会員の方が、自家用のトラックで送ってくれました。
 午後の二時ごろ、次の目的地の佐原水生植物園に着き、園内の広さとみごとに咲き競う花菖蒲を堪能しました。ここでは、植物園前の売店二軒で、約三十種を購入し、発送用のダンボールやガムテープなどを売店の方が他店に行き手配していただきました。  午後四時ごろ佐原を出て、電車を乗り継ぎ、静岡県の掛川についたのは、午後十時過ぎでした。

千葉県佐原市水生植物園

 翌十日は、朝一番のバスで加茂花菖蒲園に向かいました。過去五回ほど入園していますが、毎回新しい花に出会えます。園内を一周目は一人で周り、それから花菖蒲の売店にいる永田さんの案内で、鉢物の池にある新しい花などを見せてもらい、三周目は私の保存していない品種を探して歩き購入するのが恒例になっています。

 この園へ行ったことのある方はおわかりかと思いますが、販売用の鉢植え株が置いてある浅いプールには板が何本も渡してあり、そばへ行って花を見たり、好きな花を選べるようになっていますが、長屋門前の池は八橋だけになっています。私は、そこの花が見たいと思ったのですが、普通の靴では行くことができません。そこで、売店の松下さんという女性の店員さんに話したところ、携帯で永田さんと連絡を取り、長靴を貸していただけました。おかげで、最新花を含め二十種購入することができました。

 掛川を出て、午後四時頃に愛知県名古屋市の名古屋園芸に到着しました。この園芸店は年々か前までは花菖蒲のカタログを発行し、通信販売をしていたので、出発前に問い合わせたところ、通信販売は現在はしていないが、開花時期には店内で販売しているとのことでした。名古屋のほぼ真ん中、大都会の園芸店で、約百品種の花菖蒲を購入し、帰路につきました。

 帰宅後、次々と各地より送ってもらった花菖蒲が届き、株分けやら植え替えやらに追われましたが、その作業も終わりほっとしたとき、潮来で宿を手配してくれたラーメン屋のご主人や、忙しいのに私の苗の発送の荷造りをしてくれた潮来町花菖蒲会の三人の方、荷造りを手伝ってくれた佐原水生植物園前の売店の三人の方、加茂花菖蒲園の方など、大勢の方にお世話になりながら、加茂荘以外、連絡先もわからず、お礼も出来ないままになっていることに気づき、申し訳なく思いました。

 そこで、たいへん遅くなりましたが、花菖蒲に関係しておられる方々なので、この会報を読まれることもあるかと思い、一言お礼をさせていただきます。「どうも有難うございました」